スポーツ街道(3)・飛込

「一瞬の美に、福岡が酔いしれる」

 軽やかに跳梁し、美しい弧を描いて水面に吸い込まれていく肉体。繰り広げられる空中での華麗な舞に、息を呑む観衆。飛板、高飛込の2種目からなる飛込競技には、鑑賞という言葉がよく似合う。しかし、競技者にとって、これほど過酷なスポーツもないかもしれない。筋力、瞬発力、持久力、バランス感覚などあらゆる運動能力が要求される上に、強靱な精神力が不可欠。入水する時に競技者にかかる衝撃はすさまじく、まさに壁に激突するようなショックを受ける。

 平静な顔でプールから上がってくる選手も、実はその痛みを押し殺しているわけだ。また、高飛込では、高さへの恐怖心を克服するという難問も。これらの困難を乗り越えた者だけが、世界の檜舞台に立てるという厳しい淘汰の世界でもある。現在、もっとも有力選手が揃っているのは、中国。ユニバーシアードバッファロー大会でも、次々と高得点をマークした。当分、その座は揺るぎそうにないが、日本選手も技術力では引けをとらない。いかにミスを少なくするか、という課題さえクリアすれば、互角の戦いが期待できる。ユニバーシアード福岡大会では、男女各3人のフルエントリーが予想され、上位入賞、メダル獲得へと夢が膨らむ。

観戦豆知識

 19世紀ごろドイツで競技化された飛込競技。イギリス、アメリカなどで発達していき、日本に入ってきたのは明治時代。福岡は日本選手権等を制する有力選手を輩出してきた。飛板飛込は、1mと3mの高さに設定された2種類で、飛板の弾力を利用して身体を高く跳ね上げ優美なダイビングを競う。高飛込は5mと10mの2種類で、勇壮なダイビングを競う。飛板飛込には5群61種類、高飛込には6群58種類の演技内容があり、それぞれに難易率が設定されている。

 審判員は、助走、空中姿勢、水入の具合などを総合し、0から10までの採点を行う。それに各演技の難易率を乗じたものが得点となる。採点の際、最も重用視されているのが入水具合。水しぶきがほとんどあがらないノー・スブラッシュが最高とされるが、水入角度、タイミング、姿勢などさまざまな要素が絡み合っており、非常に高度な技術が求められる。演技は飛板飛込が規定5種目、選択6種目の計11種目、高飛込が規定、選択各5種目計10種目行い、すべての演技の得点合計で勝敗を決する。そのため、一つのミスが致命的となり、選手は一度も気を抜くことができない。肉体とともに精神のタフさが勝利をつかむ。


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