西日本新聞

 人ドラマチック

『 いつの日か 泳ぐ日夢見 』 金 政烈(キム ジュンリョル) さん(18)

 「世界を相手にどこまでやれるのだろう」。平和の祭典’95ユニバーシアード福岡大会を、プールサイドの少年は複雑な思いで見つめる。
 三年前、競泳二百メートルと四百メートル個人メドレーで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のユニバ代表候補に登録された。北朝鮮の競泳人口は少なく、日本で生まれ育った三年生の彼に今年、チャンスと資格が巡ってきたのだ。幼いころからの夢「国際舞台」に大きく近づいた。
 プールのない九州朝鮮高級学校(北九州八幡区)に、初の水球部を創設。スイミングスクールで毎日二時間みっちり泳ぎ、たった一人で福岡県大会、九州大会と奮闘した。いつもユニバの三文字が頭にあった。
 ところが、北朝鮮の参加は絶望的。唇をかみしめながら「僕はあきらめない。いつか自分が泳ぐ日を夢見て、世界レベルの泳ぎをこの目に焼きつけます。」


記事提供 西日本新聞社
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